明治創業の味噌専門店「あぶまた味噌」と選んだ、味噌キャラメルアイスクリーム

2024.11.25

開発ストーリー / Farm to cup

Interviewee Profile

店長  生野(いくの) 昇宏

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店長  生野(いくの) 昇宏

あぶまた味噌 日本橋三越本店

あぶまた味噌さんは、東京・中野で明治18年創業の味噌専門店。江戸味噌の製造から始まり、今では全国各地の味噌を取り扱っていらっしゃいます。好みの味噌を見つけてほしいという思いから、全国各地の味噌を100g単位で量り売りされていらっしゃいます。

こんにちは、HiO ICE CREAMです。
今月のアイスクリームの定期宅配『Pint Club』では、『味噌キャラメル』をお届けしております。

『味噌キャラメル』と聞いて、どんなフレーバーを思い浮かべますか?ひと口食べると、まずは味噌の塩分とコク、そして徐々にキャラメルの甘みを感じ、そして香ばしい後味。味噌とキャラメルの絶妙なバランスがおいしいアイスクリームに仕上がりました。

実はこのフレーバーは、HiO ICE CREAMの定番人気フレーバー『塩キャラメル』の塩を味噌に変えたらどんなアイスクリームになるだろう?そんなアイデアから開発がスタートしました。

そして、キャラメルに合わせるならどんな味噌を選べば良いか、味噌の専門家に相談することにしました。HiO ICE CREAMのパティシエの頭に思い浮かんだのは、HiO ICE CREAM Standのある日本橋三越本店にお店を構える、明治18年創業の味噌専門店「あぶまた味噌」さん。こちらで店長をされている味噌ソムリエの生野さんにご相談し、味噌を選びました。

今回は『味噌キャラメル』アイスクリームに使った味噌や、あぶまた味噌さんについてお話を伺いました。ぜひ、『味噌キャラメル』を食べながらお読みください!

江戸味噌の歴史と歩む、『あぶまた味噌』さん

あぶまた味噌さんは、明治18年に東京・中野に創業した味噌専門店です。中野の本店の他、今回一緒に味噌を選んだ日本橋三越本店や、新宿伊勢丹などの百貨店に味噌専門店を構えていらっしゃいます。

現在は、全国各地の味噌を扱う味噌専門店ですが、創業時は江戸味噌と呼ばれる東京発祥の味噌を作っていたそうです。

生野さん: 「あぶまた味噌はもともと江戸味噌を作っている味噌屋でした。明治18年に創業し140年ほどになりますが、江戸味噌の文化と同じ流れを辿り、全国各地の味噌を扱う味噌問屋を中心とした商いをしています。

まず、東京で味噌を作っているという認識がない方がほとんどだと思います。徳川家康が江戸に幕府を開いた際、「買い味噌は恥」といった風潮があり、家康の出身地である三河の「八丁味噌」のような旨味と京都の高級味噌「白味噌」の上品な甘さを兼ね備えた味噌を作れと命令が下り、江戸甘味噌が誕生したと言われています。

ところが、戦争が始まり東京での味噌製造が政府によって禁止されてしまい、その後昭和26年に統制が解除され、味噌も完全に自由となりましたが空白の10年で全国の多くの味噌が食べられるようになり江戸甘味噌は人々から忘れられてしまいました。

私たち「あぶまた味噌」も、戦後味噌の製造と問屋業を再開しましたが、仕込み味噌の製造は2000年頃終了し、現在では最終加工のみを自社工場で行っております。現在は問屋業を中心として三越日本橋本店・伊勢丹新宿本店にテナントを出店し、全国の味噌を取り扱い、お客様に高品質の味噌を届けようと日々努力しています。」

少量から味噌を試せる、味噌専門店の魅力

ー HiO ICE CREAMで『味噌キャラメル』のアイディアが出たものの、どこで誰に相談すれば、アイスクリームにぴったりの味噌を探せるか分かりませんでした。

そんなとき思い浮かんだのが、HiO ICE CREAM Standのある日本橋三越本店内のあぶまた味噌さんでした。確か量り売りで少量で購入できたはず!とお店に相談に行きました。

生野さん: 「ありがとうございます。味噌専門店でもなかなか100gなど量り売りで購入できる店舗はなく、10年程前から100g単位での量り売りを始めました。

お客様が百貨店の味噌屋に求めるものは、クオリティの高い味噌。価格は関係なくおいしい味噌をお求めの方がほとんどです。

現在では「味噌屋」という人は、スーパーや食料品店には立っておらず、味噌のことを誰に聞けばよいか分からず、それならば味噌専門店である当店に相談しようといらっしゃいます。

また、スーパーや食料品店では、パック詰めされた味噌を試食しないまま購入するため、購入後に『思っていた味と違っていた。こんな味のお味噌はありますか?』と来店される方もいらっしゃいます。」

ー やはり味噌と言えば家庭の味、その地域の味噌の味があり、人によって想像する味がまったく異なるなと私たちも感じました。HiO ICE CREAMのスタッフも、南は九州、北は東北と全国各地から集まってきているので、『味噌キャラメル』の試作段階でも味の好みが分かれました。

出身地ごとに馴染みのある味噌の味が異なると思います。どうやって好みの味噌を見つければ良いのでしょうか?

生野さん: 「来店された方がよく仰るのは、『おいしい味噌はどれ?』という言葉です。出身地はどちらですか?甘い味噌はお好きですか?など、そこから会話を続けていきます。

味噌の『甘い』についても、京都の甘味噌までイメージする人もいれば、信州味噌くらいの甘さをイメージする人もいらっしゃるので、お話をする中でトータルで提案しています。

そして『手前味噌』の言葉通り、その家の味噌、育ってきた味噌のイメージがそれぞれにあります。人によっては、一般的に塩分量が高い『仙台味噌』をおすすめしても、もっと辛い味噌がほしい!と仰います。おすすめの味噌をお渡しするのが非常に難しい。

そこで、私たちは量り売りをおすすめしています。いきなり400~500gの1パックを購入いただくのではなく、候補となる味噌を数種類、100gずつ購入いただき好みを選んでいってもらう。

そして、味噌をそのまま味見いただいても、使われている出汁によってお味噌汁にしたときに思った味にならないことがあります。やはり味噌は調味料です。組み合わせによって最終的な出来上がりが変わってくるので、ぜひ数種類を少量ずつ試して好みの味噌を見つけていっていただきたいです。」

『味噌キャラメル』アイスクリームに選んだ『仙台味噌 辛口』

ー HiO ICE CREAMの『味噌キャラメル』に使うことになったのは仙台味噌の辛口です。アイスクリームだから甘味噌なのかと思いましたが、辛口の味噌になったのが意外でした。

生野さん: 「アイスクリームにすると聞いて、今回は赤味噌と白味噌を2種類提案しました。1つは甘さを引き立てるのは塩分と考え塩分量の高い仙台味噌、そして塩分量が低いのに熟成が短いため塩味を感じる山形の味噌です。」

ー 実際に味噌の甘口と辛口も試食させていただきガラッと変わりました。甘口と書いてあっても、塩味を強く感じ、反対に辛口は味噌の旨味を感じました。

アイスクリームを試作し、どちらの味噌でもおいしくできたのですが、今回は味噌の味をしっかり感じられるアイスクリームにしようと、仙台味噌 辛口で作ることにしました。

ー 出来上がった『味噌キャラメル』のアイスクリームのお味はいかがでしたか?

生野さん: 「仙台味噌は、味噌の中でも一番塩分が高く、戦国時代に豊臣秀吉が朝鮮出兵した際、長期間の出兵で他地域の味噌が悪くなってしまう中、仙台味噌だけは塩分が多いため悪くならなかった。その結果、良い味噌だと全国に広がっていったと言われています。 出来上がった『味噌キャラメル』アイスクリームは、仙台味噌だからこそ、しっかりとした味噌の味、そしてキャラメル甘味、最後にミルクの味と、一口で段階を踏んで風味を感じられ、良いバランスのアイスクリームでした!」

貴重なお話をありがとうございました!今回仙台味噌 辛口で作った『味噌キャラメル』アイスクリームは、定期宅配『Pint Club』2024年12月のお届けの他、HiO ICE CREAM Atelier 自由が丘、そしてStand 日本橋三越本店の店頭スクープでお召し上がりいただけます。

お召し上がりの際は、仙台味噌のしっかりとした味噌のお味と、キャラメルの甘味のバランスをお楽しみください。

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